開門揖盗|張昭が諫めた孫権の愚行に由来する故事成語

おもしろ四字熟語
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兄の死に沈むあまり、政(まつりごと)を顧みなくなった若き君主。そんな彼に放たれた一言が、後に戒めの成語として語り継がれることになりました。

「開門揖盗(かいもんゆうとう)」は、三国志の一幕に登場する、張昭の厳しくも的確な忠言に由来します。

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開門揖盗の意味

「開門揖盗(かいもんゆうとう)」とは、自ら原因を作って災いを招くことのたとえです。

  • 「開門」は門を開けること、
  • 「揖(ゆう)」は中国古代の礼法で、丁寧な会釈やあいさつを意味します。
  • 「盗」はここでは敵・賊の意味で、

つまり「門を開いて賊を礼で迎える」という、あり得ない愚行を批判する言葉です。

「門を開いて盗(とう)を揖(ゆう)す」とも読みます。

「開門揖盗」の使い方と例文

この語句は、個人・組織問わず、災いの元を自ら作る行為を非難する場面で使われます。主に、安易な妥協や自己憐憫、無策によって招く失敗に対して用いられます。

  • 冷静さを欠いた彼の対応は、まさに開門揖盗と言える。
  • 感情を優先して政策を決めるのは、開門揖盗の愚を犯すようなものだ。
  • 自らの悲しみに溺れて組織を見失う、それが開門揖盗を招いた。

語源・由来|三国志・呉主伝より

この言葉は『三国志』の「呉書・呉主伝」に記されています。

孫策の死後、弟・孫権がその跡を継ぐも、深い悲しみに暮れて政務を疎かにしていました。これを憂いた張昭が、強く諫めた際に使ったのが「開門揖盗」という表現です。

原文:
張昭曰:「姦宄競逐 豺狼満道 而欲哀親戚 顧禮制 是猶開門揖盗 未可為仁也」

書き下し文:
張昭曰く、「姦宄かんき競いい、豺狼さいろう道に満つ。しかるに親戚を哀しみ、礼制れいせいかえりみんと欲す。お門を開いて盗をゆうするがごとし。いまだ以てじんと為すべからず。」

訳文:
張昭は言った。「奸物や野心家たちが入り乱れ、国の内外は危機に瀕している。このような時に私情に流され、礼にばかりとらわれるのは、門を開けて賊を礼で迎えるようなもの。仁義とは言えませぬ。」

この言葉は、国家や組織を担う者が、感情よりも理性を優先せよという強いメッセージとして、現代にも通じる警句となっています。

呉に関連する故事成語

呉の重臣や武将にまつわる故事成語を以下に紹介します。いずれも呉の人物が関わる四字熟語であり、その知略や人間関係が象徴的に表現されています。

  • 攀竜附|張昭が賢君孫権に仕える姿から、優れた人物に従うことの意義を説いた語
  • 苦肉之計|周瑜と黄蓋が仕掛けた奇策。自らを犠牲にして敵を欺いた戦略です。
  • 呉下阿蒙|呂蒙が大きく成長し、魯粛に「もはや呉下の阿蒙ではない」と称賛された故事に由来
  • 昼夜兼行|呂蒙が関羽を討つために、昼夜を問わず軍を進めたことに由来
  • 読書百遍|呂蒙が学問に励み、知略に優れた将に成長した逸話に基づく語
  • 括目相待|呂蒙の成長に驚いた魯粛に対して、呂蒙が「士は三日も会わなければ、目をこらして見直すべきだ」と語った故事に由来
  • 百挙百捷|呉の知将・周魴が敵将を謀略で翻弄し、百戦百勝の活躍を見せた故事
  • 三者鼎立|呉の重臣・陸凱が過去の三国均衡を理想とし、戦略的に提言した故事成語
  • 車載斗量|諸葛亮が呉の皇帝・孫権に対して、江東の地は「人材が豊富で、車に載せ斗で量れるほど多い」と称賛した言葉
  • 落筆点蠅|呉の宮廷画家・曹不興が機転を利かせて筆の汚れを絵に変えた逸話
  • 藍田生玉|孫権が諸葛恪の才能を称えた語で、優秀な後継を生む家系のたとえ

「開門揖盗」の類義語・対義語

類義語

語句 意味
自業自得(じごうじとく) 自らの行動によって報いを受けること
自縄自縛(じじょうじばく) 自分の言動で身動きが取れなくなること

対義語

語句 意味
未然防止(みぜんぼうし) 災いが起こる前にあらかじめ防ぐこと
危機回避(ききかいひ) 危険な状況に陥る前に回避する判断
深謀遠慮(しんぼうえんりょ) 将来を見越した慎重で深い思慮

「開門揖盗」の英語表記と意味

英語表記 意味
Opening the gate to salute a thief 自ら災いを招く愚かな行為。
Welcoming an enemy with courtesy 敵に無防備で迎合する姿勢。

国家や組織を危うくする「開門揖盗」の教訓とは

「開門揖盗」は、感情に流されることで国家や組織を危機に晒す愚行への警告として、古来より重んじられてきました。

孫権に忠言を呈した張昭の姿は、現代社会においてもリーダーシップに欠かせない理性と判断力の大切さを教えてくれます。

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