括目相待|努力による成長を信じて待つ心

おもしろ四字熟語
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努力を重ねた末に大きな成長を遂げた人物を見ると、思わず目をみはりたくなることがあります。「括目相待(かつもくそうたい)」という四字熟語には、まさにそんな期待と信頼の思いが込められています。

本記事では、この言葉の意味や由来、使い方について、呂蒙の故事とともに解説していきます。

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括目相待の意味

括目相待(かつもくそうたい)とは、目をこらして他人の成長や進歩を期待しながら待つことを意味する四字熟語です。

特に、相手が努力を積み重ねて成長することを信じ、じっと見守る姿勢を表します。

括目相待の使い方

「括目相待」は、主に他人の努力や成長を期待しつつ見守る場面で使われます。

  • 若手社員の成長を括目相待する。
  • 生徒たちの変化を括目相待している。
  • 今後のチームの飛躍を括目相待したい。

単に「期待する」というよりも、「じっと注意深く見守る」というニュアンスが含まれているのが特徴です。

刮目して待つ──括目相待の語源と由来

「括目相待」は、三国志の呉の名将・呂蒙が語ったとされる名言「士別れて三日なれば、即ち更に刮目して相待すべし」に由来しています。

これは彼の著しい成長と、それに驚いた魯粛との間で交わされた言葉から生まれました。

原文:
魯粛與蒙有舊 既見 而便刮目相待
謂蒙曰:「卿今者才略 非復呉下阿蒙」
蒙曰:「士別三日 即更刮目相待 大兄何見事之晩乎」

書き下し文:
魯粛、舊(ふる)き交(まじ)わりあり、既に会ひて、すなわち刮目して相待す
蒙に謂(い)ひて曰はく、「卿、今の才略は、復た呉下の阿蒙に非ず!」
蒙曰はく、「士、三日にして別れなば、すなはち更に刮目して相待すべし。大兄(たいけい)、何ぞ事を見ることの晩(おそ)きや!」

訳文:
魯粛と呂蒙は旧知の仲でしたが、再会したとき魯粛は呂蒙のあまりの成長ぶりに目を見張り
「お前の今の才知は、もはや昔の無学な呉下の阿蒙ではないな」と言いました。
それに対し呂蒙は、「士たる者は三日も経てば見違えるほど成長するものです。ですから目をこらして見直してください。大兄、気づくのが遅すぎますよ」と返したのです。

このやりとりに登場する「刮目して相待す」が、後に四字熟語として整えられ、「括目相待」という言葉が生まれました。

目をこらして他人の成長を期待し見守る姿勢──その背景には、呂蒙の並外れた努力と、それを正当に評価する魯粛の見識がありました。

この逸話は、『三国志』呉書・呂蒙伝注に記されています。

呂蒙に関連する四字熟語

呂蒙は、若い頃は武勇に優れるも学問に疎く、後に勉学に励んで知勇兼備の名将となった人物です。その努力と成長の逸話にちなんだ次の四字熟語の記事もあわせてご覧ください。

  • 読書百遍|繰り返し読むことで理解を深めた呂蒙の努力
  • 呉下阿蒙|学問によって飛躍的に成長した呂蒙の逸話
  • 昼夜兼行|呂蒙が昼夜を問わず軍を進め、迅速な戦術で成果を挙げた行軍の語

呉の武将に関連する四字熟語

このブログでは、呉の名将である呂蒙について紹介してきました。ここでは、呉の武将や呉にまつわる四字熟語をまとめています。

  • 苦肉之計|周瑜と黄蓋が仕掛けた奇策。自らを犠牲にして敵を欺いた戦略
  • 攀竜附驥|張昭が賢君孫権に仕える姿から、優れた人物に従うことの意義を説いた語
  • 開門揖盗|張昭が孫権に忠告した故事にちなみ、油断の危険を戒めた語
  • 百挙百捷|呉の知将・周魴が敵将を謀略で翻弄し、百戦百勝の活躍を見せた故事
  • 落筆点蠅|呉の宮廷画家・曹不興が機転を利かせて筆の汚れを絵に変えた逸話
  • 藍田生玉|孫権が諸葛瑾の息子・諸葛恪を称賛して語った逸話に基づく故事
  • 車載斗量|諸葛亮が呉の皇帝・孫権に対して、江東の地は「人材が豊富で、車に載せ斗で量れるほど多い」と称賛した言葉で、呉の実力を象徴
  • 三者鼎立|呉の重臣・陸凱が過去の三国均衡を理想とし、戦略的に提言した故事成語

括目相待の類義語・対義語

類義語

語句 意味
括目相看(かつもくそうかん) 目を大きく見開いて相手を注視すること。特に、成長や変化を期待して見ること。

対義語

語句 意味
傍観者(ぼうかんしゃ) 物事に関与せず、ただ見ているだけの人。
曖昧模糊(あいまいもこ) 物事がはっきりせず、ぼんやりとしているさま。

括目相待の英語表記と意味

英語表記 意味
Await with keen attention 注意深く成長を期待して待つこと
Watch closely in expectation 期待を込めてじっと見守ること

まとめ|括目相待とは

括目相待は、他人の努力や成長を信じ、注意深く見守る姿勢を表す四字熟語です。呂蒙の逸話に由来し、単なる期待ではなく、日々進化する姿を信じて刮目して待つ心を伝えています。

私たちの日常においても、周囲の人の成長を温かく見守る姿勢は、大きな信頼と励みになります。目をこらして未来を信じる──そんな思いを大切にしていきたいものですね。

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