
「阮籍青眼(げんせきせいがん)」という四字熟語をご存知でしょうか。
三国時代の文人・阮籍の逸話から生まれたこの表現は、相手に対して特別な好意や敬意を示すときに使われます。今回は、その意味や語源、使い方などを詳しく解説していきます。
阮籍青眼の意味
「阮籍青眼(げんせきせいがん)」は、相手に対して特別な好意や敬意を示すことを意味する四字熟語です。
もともとは、好意を抱く人物に青い目(黒目)を向けて接する阮籍の態度に由来しており、特別な評価や厚遇を指す場合にも使われます。
阮籍青眼の使い方と例
ビジネスや人間関係で、他者から特別に評価されたり、高く評価される状況を表現するときに使います。また、文章や会話で歴史的なニュアンスを加えたいときにも使われます。
- 彼の功績は上層部からも阮籍青眼で見られている。
- その真摯な姿勢が地域の人々に阮籍青眼をもって迎えられた。
- 阮籍青眼を受けるには、日頃の行いが何よりも大切だ。
阮籍青眼の語源・由来
阮籍(げんせき)(210年~263年)は、三国時代・魏の文人で、「竹林の七賢(ちくりんのしちけん)」の一人として広く知られています。竹林の七賢は、権力争いや俗世のしがらみを嫌い、自由奔放な思想と生活態度を貫いた7人の知識人の集まりです。
この時代は、三国時代の魏から晋へと移る過渡期であり、後世ではまとめて「魏晋(ぎしん)の時代」とも呼ばれます。そのメンバーは阮籍のほか、嵆康(けいこう)、山濤(さんとう)、向秀(しょうしゅう)、劉伶(りゅうれい)、王戎(おうじゅう)、阮咸(げんかん)がいます。
阮籍はその中でも特に個性的で、礼儀作法や形式にとらわれず、特定の人物にしか心を開かない性格でした。
『蒙求(もうぎゅう)』および『晋書(しんじょ)』阮籍伝によれば、阮籍は来訪者に対して、気に入らない者には「白眼(はくがん、目をそらす、白目を見せる)」を向け、気に入った者には「青眼(せいがん、黒目を正面に向ける)」を示したとされています。
この故事がもととなり、「阮籍青眼」は特別な好意や敬意を示すことを表す熟語となりました。
関連リンク|魏晋・後漢末の文化人にまつわる故事・四字熟語
阮籍と同じく、後漢末から魏晋にかけて活躍した文化人たちにまつわる故事や逸話をもとにした四字熟語を以下にご紹介します。文人たちの才気や心情が感じられる表現の数々を、ぜひあわせてご覧ください。
清聖濁賢 ─ 禁酒令に背いた徐邈に対し、曹操が寛容さを見せた際の評価語- 子建八斗 ─ 曹植の優れた詩才を示す逸話に由来する四字熟語。「八斗の才」の意味とともに、彼の詩人としての側面を紹介
- 七歩之才 ─ 曹植が兄・曹丕に命じられ、わずか七歩のうちに詩を詠んだ逸話に由来。即興詩の才を表す
- 煮豆燃箕 ─ 七歩詩の中の一節から生まれた語。兄弟の争いに対する嘆きを詩に込めた故事に基づく
- 七歩八叉 ─ 曹植の七歩詩と、唐代詩人・温庭筠が腕を八度組む間に八韻の詩を作ったという逸話を重ね、詩才の卓越を讃えた語
- 鶴立企佇
─ 皇位曹丕との軋轢に心を痛めながらも、弟・曹彪との再会を願い、首を長くして待ち続けた曹植の慕情が込められた表現 - 浮雲翳日 ─ 曹操によって処刑された孔融の悲運。賢者の光が一時の権力に覆われた哀しい象徴
- 落筆点蠅 ─ 曹不興の伝説的な逸話。落ちた墨を蠅に見立てて絵に変えた逸話から
阮籍青眼の類義語・対義語
類義語
| 語句 | 意味 |
|---|---|
| 白眼青眼(はくがんせいがん) | 阮籍の態度を表す言葉で、白眼は軽蔑、青眼は好意を示すこと。 |
| 刮目相待(かつもくそうたい) | 目をこすって改めて見る意。相手の才能などを見直して高く評価すること。 |
| 重用(ちょうよう) | 特に重要視して用いること。 |
対義語
| 語句 | 意味 |
|---|---|
| 白眼視(はくがんし) | 冷たく見下す態度を取ること。 |
| 冷遇(れいぐう) | 冷たくあしらうこと。 |
阮籍青眼の英語表記
| 英語表記 | 意味 |
|---|---|
| to show special favor | 特別な好意を示す。 |
| to hold someone in high esteem | 相手を高く評価する。 |
阮籍青眼のまとめ
「阮籍青眼」は、三国時代の文人・阮籍の逸話から生まれた四字熟語で、特別な好意や敬意を示すことを意味します。
竹林の七賢の一人であった阮籍の個性的な態度が由来であり、現代においても相手への評価や敬意を示す場面で用いられる表現です。語源を知ることで、より深くこの言葉を使いこなすことができるでしょう。
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