
三国志に登場する英雄たちの間には、数々の名場面があり、その中には深い友情や信頼関係を象徴する言葉が多く生まれました。その一つが今回ご紹介する「水魚之交(すいぎょのまじわり)」です。
現代でも使えるこの言葉には、どのような背景と意味があるのでしょうか。
水魚之交の意味
「水魚之交(すいぎょのまじわり)」とは、水と魚のように切っても切れない親密な関係を意味する四字熟語です。
互いの存在が不可欠で、強い信頼と絆で結ばれた間柄を表現します。
水魚之交の使い方と例文
「水魚之交」は、特に深い信頼関係や、離れがたい友情・主従関係を表現する際に用いられます。ビジネスやスポーツチームなど、互いに支え合う関係を称える場面でも使われることがあります。

- 彼と彼女はまさに水魚之交のような関係だ。
- 長年連れ添った夫婦は水魚之交と呼ぶにふさわしい。
- その政治家と秘書は水魚之交のように、深い信頼で結ばれていた。
語源・由来:『三国志』蜀志・諸葛亮伝「出師表」より
「水魚之交」という言葉の由来は、三国時代の蜀の軍師・諸葛亮(孔明)が記した上奏文「出師表」にあります。これは『三国志』蜀書・諸葛亮伝に裴松之が注釈として引用した文書で、劉備の死後、皇帝となった劉禅に忠義を尽くす決意を述べたものです。
文中で諸葛亮は、かつて劉備が自分を三度も草廬に訪ね、厚遇したことに感激し、臣下として仕える決意をしたと述べています。そのくだりがこちらです。
原文:
臣本布衣 躬耕於南陽 苟全性命於亂世 不求聞達於諸侯
先帝不以臣卑鄙 猥自枉屈 三顧臣於草廬之中 諮臣以當世之事
由是感激 遂許先帝以驅馳書き下し文:
臣、本(もと)布衣にして、南陽に躬(みずか)ら耕し、
乱世に性命を全うせんことを苟(いやしく)もして、諸侯に聞達せられんことを求めず。
先帝、臣の卑鄙を以てせず、猥(みだ)りに自(みずか)ら屈(かが)めて、
三たび臣を草廬の中に顧し、臣に当世の事を諮(はか)らる。
是(ここ)に於いて感激し、遂に先帝に驅馳(くち)を許す。訳文:
私はもと百姓で、南陽で畑を耕して暮らしておりました。
乱世をなんとか生き延びようとするだけで、諸侯に仕えるつもりはまったくありませんでした。
しかし先帝(劉備)は、私の身分の低さを問題とせず、
わざわざ三度も草廬においでになり、時勢についてご意見を求めてこられました。
私はその誠意に感激し、主君として仕えることをお受けしました。
そしてその後、劉備の厚い信頼と待遇について、諸葛亮は次のように語っています。
原文:
親以待之 與臣如魚水之交
書き下し文:
親しみを以(もっ)てこれに待ち、
臣と魚水の交わりを為(な)す。訳文:
先帝は私を親身に遇し、
私との関係は、水と魚のように切っても切れない交わりでした。
この「魚水之交(=水魚之交)」という言葉は、水と魚が離れることができない関係であるように、深い信頼と一体感を持った主従関係を象徴するものです。三顧の礼をもって迎えられ、心を通わせた劉備と諸葛亮の絆を、この一語が見事に表しています。
水魚之交の類義語・対義語
類義語
| 四字熟語 | 意味 |
|---|---|
| 刎頸之交(ふんけいのまじわり) | 首をはねられても悔いないほどの親友関係 |
| 莫逆之友(ばくぎゃくのとも) | 心が完全に通じ合った親友 |
| 管鮑之交(かんぽうのまじわり) | 生涯にわたる親密な友情 |
対義語
| 四字熟語 | 意味 |
|---|---|
| 羊頭狗肉(ようとうくにく) | 見かけと中身が伴わないこと(表面だけの関係) |
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水魚之交の英語表記と意味
| 英語表記 | 意味 |
|---|---|
| Like fish and water | 切っても切れない親密な関係 |
水魚之交のまとめ
「水魚之交」は、まさに諸葛亮と劉備のような、相互に欠かせない絆を象徴する四字熟語です。
現代でも、強い信頼関係や親密な間柄を表現する際にぴったりの言葉です。あなたの人生にも、そんな「水魚之交」の関係がありますか?
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