飛鷹走狗|後漢末の風潮を映す狩猟の四字熟語

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鷹を空に放ち、猟犬を野に走らせて獲物を狩る——。それが「飛鷹走狗(ひようそうく)」という四字熟語です。

中国古代では王侯貴族が好んで行ったこの狩猟行為は、単なる娯楽にとどまらず、権力や財力の象徴でもありました。

本記事では、この語句の意味と歴史背景、さらには由来となった後漢末の群雄・袁術の姿にも迫ります。

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飛鷹走狗の意味とは

「飛鷹走狗(ひようそうく)」とは、狩猟をすること。鷹を飛ばし、猟犬を走らせて狩猟をすることを意味する四字熟語です。

古代中国では、主に王侯貴族が催した鷹狩などの行為を指し、現代日本語においても「狩猟をすること」の表現として用いられます。

飛鷹走狗の使い方と例文

「飛鷹走狗」は、狩猟行為そのものを表す表現として、歴史描写や文芸作品、または狩猟文化に関する文章で用いられます。

一方で、語源にあたる後漢末の記録からは、王侯の贅沢な生活や享楽の象徴として使われていたことが分かります。そのため、文学的・象徴的文脈では、贅沢や権力誇示の描写に用いられることもあります(ただし、これはあくまで比喩的表現であり、辞書的意味ではありません)。

  • 王侯が飛鷹走狗を楽しむ様子が、壁画に描かれていた。
  • 歴代の皇帝たちは飛鷹走狗を好み、その威勢を誇示した。
  • (文語的表現)飛鷹走狗に明け暮れる姿は、乱世における奢侈の象徴であった。

飛鷹走狗の語源・由来|後漢書・袁術伝に見る虚飾と権力の象徴

「飛鷹走狗」という語句の出典は、中国後漢末の人物・袁術の生活ぶりを記した『後漢書・袁術伝』にあります。

袁術は名門袁家の出でありながら、自ら皇帝を僭称し「仲家」と号し、成陽宮を築いて百官を擁立。帝王の礼制を模倣し、贅沢を極めました。

原文:
術自稱皇帝 僭號仲家 號宮曰成陽宮 立百官 備法物
好作威福 飛鷹走狗 窮極伎樂之好

書き下し文:
術は自ら皇帝と称し、仲家と号し、宮を成陽宮と号し、百官を立て、法物を備えたり。威福を作すを好み、飛鷹走狗し、伎楽の好みを極めたり。

訳文:
袁術は自ら皇帝と称し、「仲家」を名乗って成陽宮を築き、百官を整え、皇帝の器物を備えた。権勢を誇示することを好み、狩猟に耽り、音楽や芸能の快楽にふけった。

また、彼の放埓な性格を象徴する有名な逸話として、『三国志』裴松之注に引用された『英雄記』には、次のような一節が残されています。

原文:
時人饑乏 術欲食蜜漿 而不能得
嘆曰:「天亡我也」

訳文:
当時、民衆は飢えに苦しんでいたが、袁術は蜜漿(みつざけ:はちみつを溶かした甘い飲料)を飲みたがり、それが手に入らないことで「天が我を見捨てたのだ」と嘆いたという。

このように「飛鷹走狗」は、辞書的には狩猟行為を意味しますが、その語源からは、贅沢・享楽・権力誇示といった側面を象徴する表現としても読み取ることができます。

後漢末の群雄たちにまつわる関連語句

飛鷹走狗の類義語・対義語について

「飛鷹走狗」は、鷹を飛ばし猟犬を走らせて行う狩猟を表す四字熟語です。そのため、意味が直接対応するような日本語の四字熟語による類義語や対義語は、現代の辞書類には見られませんでした。

飛鷹走狗の英語表記

英語表記 意味
Falcon and hound hunting 鷹と猟犬を使った伝統的な狩猟
Traditional aristocratic hunting 王侯貴族による伝統的狩猟文化

飛鷹走狗に見る古代中国の狩猟文化と権力の象徴

「飛鷹走狗」は本来、鷹と猟犬を用いた狩猟を表す四字熟語です。

古代中国においては王侯が権威の誇示や娯楽として嗜んだものであり、語源にあたる袁術の逸話からは、贅沢な生活ぶりや統治者としての資質が垣間見えます。

狩猟文化を知る上での歴史的資料としても、この語句には深い意味が込められているのです。

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