「一敗塗地」とは?意味・語源・使い方を解説|徹底的な敗北を表す四字熟語

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人生や勝負の世界では、たった一度の失敗が致命的になることがあります。戦いにおいても同様で、時には一回の敗北が、その後の命運を左右することもあるのです。

そんな状況を表すのが、今回ご紹介する四字熟語「一敗塗地(いっぱいとち)」です。

その意味や語源を探りながら、現代のビジネスや日常にも通じるこの言葉の奥深さを見ていきましょう。

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一敗塗地とは?

「一敗塗地(いっぱいとち)」とは、完膚なきまでに打ち負かされること、あるいは徹底的に敗北することを意味する四字熟語です。

この表現は、ただの敗北ではなく、死体が地に倒れ、内臓までもが地面に塗れる(まみれる)という、極めて惨たらしい敗戦の様子を描いたものです。敗者が完全に叩きのめされ、名誉も体面も地に落ちた状態を強調しています。

「一敗、地に塗る(いっぱい、ちにまみる)」とも読みます。こちらのほうが馴染み深いかもしれませんね。

語源・由来|『史記』高祖本紀の背景と、劉邦・項羽の人柄

「一敗塗地」は、劉邦項羽の対立を描いた『史記』〈高祖本紀〉の時代背景に由来するとされます。とりわけ、「塗地」とは、戦場で敗れた兵士たちの血や内臓が大地を覆うような、凄惨な敗戦を意味します。

この語の象徴的場面とされるのが、楚漢戦争の最終局面「垓下の戦い」です。項羽は四面楚歌に追い詰められ、最後には愛馬を失い、家臣を次々と失い、自ら剣を喉に突いて壮絶な最期を遂げました。その死体は首を斬られ、漢軍に送られたと伝えられています。

劉邦は、もともと無名の亭長でしたが、韓信蕭何張良らを巧みに用いた現実主義的なリーダーとして成長。一方、項羽は軍才に優れながらも、激情的で短慮な決断が命取りとなり、悲劇的な敗北を迎えることになります。

また、旺文社『故事成語を知る辞典』には、以下のような逸話も紹介されています。秦王朝に対する反乱の初期、民衆が劉邦を指導者として迎えようとしたところ、劉邦は

「今、よい将がいなければ、一敗、地に塗れるだろう」

と述べて自らは退いたといいます。自らの力量を見極め、機を待つ慎重な姿勢が、後の勝利へとつながっていきました。

このように、「一敗塗地」という語は、単なる敗北ではなく、命運を分ける戦場の惨状や、人物の器量による明暗の分かれ目までも象徴する重みある表現なのです。

使い方・例文|「一敗塗地」の実用シーン

  • プロジェクトはライバル企業に一敗塗地の結果となった。
  • 前回の選挙では一敗塗地に終わり、立ち直るまでに時間がかかった。
  • 優勝候補と言われたチームが、まさかの一敗塗地とは誰も予想しなかった。

🔗 関連記事:楚漢戦争を彩る四字熟語

このブログで取り上げた「一敗塗地」は、楚漢戦争を背景とした故事に由来しています。
同じく楚漢戦争にまつわる四字熟語をまとめましたので、興味のある方はぜひこちらもご覧ください。

👉 背水之陣(はいすいのじん)韓信が用いた、退路を断つ戦術で知られる四字熟語。戦略的に兵士を奮い立たせた逸話が有名です。

👉 破釜沈舟(はふちんしゅう):項羽の覚悟を象徴する言葉。退路を自ら断ち、決死の戦いに挑む姿勢が現代にも響きます。

👉 捲土重来(けんどちょうらい:一度敗れた者が勢いを盛り返し、再び挑むことを意味する語。項羽の再起を描いた故事が由来です。

👉 乾坤一擲(けんこんいってき):天地をかけた一世一代の大勝負。楚漢戦争の激しい駆け引きに通じる、運命を懸けた決断の象徴です。

一敗塗地の類義語・対義語

類義語

語句 意味
肝脳塗地(かんのうとち) 肝も脳も地に塗れるほど、惨たらしく敗れること
完敗(かんぱい) 全く歯が立たずに負けること
惨敗(ざんぱい) 手も足も出ず、ひどく負けること

対義語

語句 意味
大勝(たいしょう) 圧倒的に勝利すること
快勝(かいしょう) 気持ちよくすっきりと勝つこと

一敗塗地の英語表記と意味

英語表記 意味
crushing defeat 打ちのめされるような大敗
utter defeat 完全な敗北
total rout 総崩れのような敗退

まとめ|一敗塗地の意味を正しく理解しよう

「一敗塗地」は、ただの敗北ではなく、地に倒れ、泥にまみれるほどの決定的な敗北を意味する四字熟語です。その背景には、戦場での惨敗の様子が重ねられています。

現代ではビジネスやスポーツなど様々な分野で比喩的に使われており、悔しさや無念さを強調する場面で効果的に活用できます。類義語の「肝脳塗地」とあわせて覚えておくと、表現の幅が広がります。

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