
「子建八斗(しけんはっと)」という四字熟語をご存知でしょうか?この言葉は、三国志の時代に名を馳せた文才・曹植(そうしょく)の才能を讃えた表現で、彼の詩文の力量がいかに群を抜いていたかを物語っています。
今回は、この印象深い言葉の意味や背景、そして現代における使い方を丁寧に解説していきます。
子建八斗の意味
特に「八斗の才(はっとのさい)」とも言われ、「文章の才が極めて秀でている」という比喩表現として用いられます。
子建八斗の使い方
この熟語は主に、詩文や文章力において飛び抜けた才能を持つ人物に対して、尊敬や称賛の意を込めて用いられます。
現代では次のように使われることがあります。
- 彼の書くエッセイは、まさに子建八斗と称されるにふさわしい。
- あの作家の文才は子建八斗とも言われるほどだ。
子建八斗の由来・語源

「子建」とは、三国志に登場する魏の王・曹操の三男、曹植(そうしょく)の字(あざな)です。彼はその非凡な詩才により、後世に「建安の七子」のひとりとして名を残しました。
この語の由来は、南朝宋の文人・謝霊運(しゃれいうん)が、当時の詩人たちの才能を「斗(ます)」という単位で比喩的に表した逸話にあります。
謝霊運曰く──
「天が文章の才を十斗授けたとすれば、曹植はそのうち八斗を有し、私は一斗を得た。そしてその他の詩人が残りの一斗を分け合った」
このように、曹植の才は他を圧倒していたため、「子建八斗(曹植は八斗)」という言葉が生まれたのです。
子建八斗の類義語・対義語
類義語
| 語句 | 意味 |
|---|---|
| 七歩之才(しちほのさい) | わずか七歩のうちに詩を作ったという曹植の伝説的な詩才のこと |
| 博学多才(はくがくたさい) | 広く学問に通じ、多くの才能を持っていること |
| 才気煥発(さいきかんぱつ) | 才知が生き生きとあふれ出ていること |
対義語
| 語句 | 意味 |
|---|---|
| 無学文盲(むがくもんもう) | 学問や文字に対して無知であること |
| 浅学菲才(せんがくひさい) | 学問や才能が浅く乏しいことの謙遜表現 |
子建八斗の英語表記
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| Superb literary talent | 非常に優れた文才 |
| Gifted with words like Zǐjiàn | 曹植(子建)のように言葉に長けている |
三国志との関係と人物紹介
曹植(子建)は、兄・曹丕の間で後継者争いに敗れ、詩文に生きることとなった人物です。彼の詩は技巧と情感に満ち、「七歩詩」などの作品も知られています。
しかし、詩才に優れながらも政治の表舞台からは遠ざけられたその運命は、多くの人の心に残る哀しみと共感を呼んでいます。
曹植に関連する四字熟語
「子建八斗」で称えられる曹植の詩才は、いくつかの四字熟語に語り継がれています。以下は、彼の驚異的な即興力や兄弟間の葛藤、そして詩作の技量を象徴する代表的な熟語です。
七歩之才 ─ 曹植が兄・曹丕に命じられ、わずか七歩のうちに詩を詠んだ逸話に由来。即興詩の才を表す- 煮豆燃萁 ─ 七歩詩の中の一節から生まれた語。兄弟の争いに対する嘆きを詩に込めた故事に基づく
七歩八叉 ─ 曹植の七歩詩と、唐代詩人・温庭筠が腕を八度組む間に八韻の詩を作ったという逸話を重ね、詩才の卓越を讃えた語- 鶴立企佇 ─ 皇位曹丕との軋轢に心を痛めながらも、弟・曹彪との再会を願い、首を長くして待ち続けた曹植の慕情が込められた表現
- 明眸皓歯 ─ 曹植・甄氏をめぐる詩情豊かな描写から生まれた、美しさと哀切を讃える語
曹操に関連する四字熟語
「子建八斗」の主役・曹植の父である曹操もまた、数々の故事や逸話を残しており、多くの四字熟語の語源になっています。以下は曹操に関わる代表的な四字熟語です。
望梅止渇 ─ 曹操が梅の話で兵士の渇きを癒した故事に由来。巧みな心理戦略の象徴。- 黄絹幼婦 ─ 曹操と楊脩の間で交わされた、言葉遊びに秘められた知略と理解力の逸話。
- 老驥伏櫪 ─ 曹操が晩年に詠んだ詩から生まれた言葉。老いてもなお志を失わぬ姿勢を表現。
-
清聖濁賢 ─ 曹操の禁酒令に背きながらも、才能を認められた徐邈の逸話に由来。欠点よりも賢さを重んじた、曹操の度量の大きさと人を見る眼がうかがえる。 - 浮雲翳日 ─ 曹操によって処刑された孔融の悲運。賢者の光が一時の権力に覆われた哀しい象徴。
子建八斗のまとめ
「子建八斗」は、曹植の圧倒的な詩才をたたえた四字熟語であり、文才や表現力の高い人物への最大級の賛辞として用いられます。
その背景には、三国志の時代を生きた一人の文人の生涯が色濃く刻まれており、今なお言葉に宿る才の象徴として語り継がれています。
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