
「彼はおもむろに立ち上がった」、「司会者はおもむろにマイクを手に取った」──小説やニュース記事で、このような表現を見かけることがあります。
このとき、「急に立ち上がった」「いきなりマイクを取った」という意味だと思っていないでしょうか。しかし、「おもむろに」は「突然」「いきなり」という意味ではありません。
漢字では「徐に」と書きます。「徐行」の「徐」と同じく、落ち着いて、ゆっくりと行動するさまを表す言葉です。
💡 結論
おもむろに: 落ち着いて、ゆっくりと行動するさま。
誤用されやすい意味: 突然・いきなり・不意に。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 本来の意味 | 落ち着いて、ゆっくりと行動するさま |
| 漢字 | 徐に |
| 間違えやすい点 | 「突然」「いきなり」「不意に」という意味だと思われやすいこと |
「おもむろに」は、動き出す場面で使われることが多い言葉です。そのため、「急に何かを始めた」という印象を受けやすく、意味を取り違えられることがあります。しかし、本来の中心にあるのは急な動きではなく、落ち着きです。
この記事では、「おもむろに」の本来の意味、漢字「徐に」からわかる語源、そして「突然」と誤解されやすい理由を、例文を交えてわかりやすく解説します。
「おもむろに」の意味とは|「突然」ではなく落ち着いてゆっくり
おもむろにとは、落ち着いて、ゆっくりと行動するさまを表す言葉です。
「急に」「いきなり」という意味ではありません。たとえば、「彼はおもむろに立ち上がった」という文は、彼が突然立ち上がったという意味ではなく、落ち着いた様子で、ゆっくり立ち上がったという意味になります。
この言葉は、会議や演説、記者会見、小説の情景描写など、落ち着いた動作を表したい場面でよく使われます。大切なのは、動作の速さだけではなく、慌てず、静かに行動へ移る雰囲気です。

「おもむろに」の使い方例
- 会議が静まり返ると、部長はおもむろに資料を開いた。
- 彼女はしばらく黙ったあと、おもむろに指輪を外した。
- 契約内容を確認した弁護士は、おもむろにペンを取った。
- 校長先生は壇上に立つと、おもむろに話し始めた。
- 記者の質問を聞いた大臣は、おもむろに答弁書に目を落とした。
「おもむろに」の語源|「重い」が由来で、漢字は「徐に」
「おもむろに」は、「重い・重々しい」を表す古い言葉に由来すると考えられています。ここでいう「重い」は、物の重さではありません。軽々しく動くのではなく、どっしりと落ち着いた様子を表します。
そこから、「落ち着いてゆっくり行動する」「慌てずに動き始める」という現在の意味になったと考えられています。
漢字では「徐(おもむろ)に」と書く
「おもむろに」は、漢字では「徐に」と書きます。この「徐」は、「徐行」や「徐々に」にも使われる漢字で、ゆっくり・ゆるやか・落ち着いてという意味を持っています。
ただし、「徐」が語源というわけではありません。もともと「おもむろ」という和語があり、その意味に合わせて「徐」の字が当てられた当て字(表記)です。
- 語源は「重い・重々しい」に由来すると考えられている。
- そこから「落ち着いてゆっくり行動する」という意味になった。
- 漢字では「徐に」と書く。
- 「徐」は後から意味に合わせて当てられた漢字であり、語源ではない。
「おもむろに」が誤用されやすい理由
「おもむろに」は、「突然」「いきなり」「不意に」という意味で誤解されやすい言葉です。特に「おもむろに立ち上がる」「おもむろに口を開く」のように、何かの動作が始まる場面で使われるため、急に動き出したと受け取ってしまうことがあります。
たとえば、「彼はおもむろに席を立った」という文を見たとき、場面だけを想像すると「突然席を立った」と読めてしまうかもしれません。しかし、本来の意味では、彼は急に立ち上がったのではなく、落ち着いた様子でゆっくり席を立ったことになります。
まとめ|「おもむろに」は突然ではなく、落ち着いてゆっくり
「おもむろに」は、漢字で「徐に」と書きます。「徐行」や「徐々に」の「徐」と同じく、ゆっくり、ゆるやか、落ち着いた様子を表す言葉です。
そのため、「おもむろに立ち上がる」は、突然立ち上がることではなく、落ち着いた様子でゆっくり立ち上がることを意味します。
- 「おもむろに」は、落ち着いてゆっくり行動するさまを表す。
- 漢字では「徐に」と書く。
- 「突然」「いきなり」「不意に」という意味ではない。
- 動作が始まる場面で使われるため、急な動きだと誤解されやすい。
「おもむろに」は、知っているようで誤解されやすい言葉です。漢字の「徐」を思い出せば、意味を間違えにくくなります。
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