「始末に負えない」という表現、ビジネスシーンでよく耳にしますよね。しかし、この表現、時々「始末に終えない」と誤って使われることがあります。
これは実は、慣用句としては正しくありません。
例えば、ある部署で大きなミスが発生し、その責任者が「もう始末に終えない」と落胆する場面。ここで使われている「始末に終えない」は、実際には存在しない誤った表現なのです。
この記事では、このような誤用がなぜ起こるのか、そして正しい「始末に負えない」の使い方を、わかりやすく解説します。
「始末に負えない」の意味と使い方
では、この言葉を日常生活やビジネスシーンでどのように使えばいいのでしょうか。以下に具体的な使用例をいくつか挙げてみましょう。
具体的な使用例
1. プロジェクトの遅延
「新製品の開発プロジェクトが大幅に遅れていて、もはや始末に負えない状態だ。」
- この例では、予定より大幅に遅れているプロジェクトの管理が困難になっている状況を表しています。
2. 家庭でのトラブル
「子どもが学校で問題を起こし、始末に負えない事態になっている。」
- ここでは、子どもの学校での行動が原因で、家庭内で手に負えない問題が生じていることを示しています。
3. 職場での混乱
「今朝のシステムダウンは、始末に負えないほどの混乱を引き起こした。」
- この使用例では、システムのダウンが職場に大きな混乱をもたらし、それを管理するのが非常に困難であることを表現しています。
この慣用句は、主に解決が困難で、手をこまねいているような状況を描写するのに適しています。
言葉のルーツを探る:「始末に負えない」の語源
「始末に負えない」という慣用句を理解するためには、その語源を知ることが大切です。この表現は、二つの言葉「始末」と「負う」から成り立っています。
1.「始末」とは
「始末」という言葉は、元々は「始めと終わり」を意味し、広義には事の進行や結末、特に悪い結末やその状態を指すことが多いです。
歴史的に見ると、この言葉は何かが起こった後の処理や、その結果として生じる状態を指すようになりました。
つまり、何らかの事態や出来事がもたらした、扱いにくい結果や状況を示すのに用いられるのです。
2.「負う」とは
一方、「負う」とは、本来は「背負う」「責任を持つ」などの意味を持つ動詞です。何かを自分の責任のもとに引き受ける、あるいは何かの重荷を自分で担うという意味合いがあります。
この場合の「負えない」は、「背負いきれない」「処理しきれない」といった意味になります。
3. 慣用句としての意味
したがって、「始末に負えない」という慣用句では、
- 「始末」という言葉が示す「事態の結果やそれによって生じた状況」と、
- 「負う」が示す「それを処理する能力や責任」が組み合わさっています。
結果として、「始末に負えない」とは、生じた状況や問題があまりにも大きく、それを処理したり、その責任を負いきれない状況を指すようになったのです。
誤用される理由:「始末に終えない」の落とし穴
この誤用の主な原因は、単純な聞き間違いや語感の混同にあると考えられます。
- 「終える」という言葉の方が日常的によく使われるため、似た響きの「負えない」と混同しやすい。
- 「終える」という言葉が終わりや完了を連想させるため、何かを処理しきれない状況を表す「始末に負えない」という表現と混同しやすい。
まとめ:「始末に負えない」を正しく使って印象アップ
「始末に負えない」とは、何かが非常に手に負えず、困った状況を指す表現です。
誤って「始末に終えない」と使ってしまうことがありますが、これは聞き間違いや言葉の混同が原因です。
この記事を読んで、皆さんも「始末に負えない」を正しく使いこなしてみてください。仕事のちょっとした話のネタにも、知識としても役立つはずです!
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