
「このプロジェクトでは、三日と空けずに会議を開いている」──こう書いたこと、ありませんか?
実はこの表現、「三日と空けず」ではなく「三日にあげず(上げず)」が正しい使い方です。
同じように聞こえますが、「三日と空けず」は誤用です。この記事では、誤用されがちな「三日にあげず」の正しい意味・使い方・語源を具体例とともに解説します。
「三日にあげず」の正しい意味と使い方:ビジネスでの実践例
つまり、頻繁に・たびたび・間をおかずにというニュアンスを持つ慣用句です。
「三日にあげず」を使った例文

- このプロジェクトでは、進捗を密に確認するため、三日にあげずに会議を開いている。
- 新入社員のAさんは、三日にあげずに上司へフィードバックを求めてくる。
- 社内では、最新技術の習得を目的に、三日にあげずに勉強会が開かれている。」
「三日にあげず」の語源:「短い間に」を表す日本語の知恵
「三日にあげず」は、「上げる」の否定形「あげず」から成る表現です。ここでの「上げる」は、古くから“終える・仕上げる”の意味を持ち、現代でも「仕事を上げる」「原稿が上がる」「書き上げる」「出来上がる」のように使われています。
否定形の「あげず」は“終えない = 間をおかない”という意味になり、全体で「三日も経たないうちに」「短い間をおかずに」を表します。
また、「三日にあげず」の「に」は、現代の時間表現とは少し異なり、「〜までに至らないうちに」という古い用法の助詞です。
現代の「三日に一度」「三日に会う」の「に」が“時点・頻度”を示すのに対し、ここでの「に」は“動作がその時点に達しない”ことを意味します。つまり「三日にあげず」とは、「三日が経つ前に行う」「三日を待たずに繰り返す」というニュアンスを持つ言葉なのです。

古くから日本では、季節の変わり目や繁忙期に作業や行事が短い間隔で繰り返される場面が多くあり、そうした生活感覚の中で「三日にあげず」という言葉が生まれました。
現代でも、頻繁に何かを行うことを品よく表す慣用句として使われています。
「三日にあげず」と「三日と空けず」の混同:なぜ誤用されるのか
「三日にあげず」が「三日と空けず」と誤用されるのは、言葉の響きと意味の近さが原因です。
- 「三日にあげず」=三日も経たないうちに(短期間に繰り返す)
- 「三日と空けず」=三日間の間隔を空けない(直訳的で不自然)

たしかに「空けず」は直感的に“間隔を開けない”という意味に感じられるため、誤って使いやすい表現です。ですが、慣用句として定着しているのは「三日にあげず」であり、「三日と空けず」は日本語として自然ではありません。
つまり、「あげず」には“やめない・続ける”という意味があり、「空けず」には“間を置かない”という字面上の近さが誤用の原因です。
会話では意味が通じてしまうため気づきにくいものの、文章やビジネスシーンでは誤用と見なされる可能性が高いため注意が必要です。
まとめ:「三日にあげず」を正しく使って印象アップ

「三日にあげず」は、「短い間をおかず」「頻繁に」といった意味で使う正しい慣用句です。
一方の「三日と空けず」は言葉の響きが似ているために生まれた誤用であり、フォーマルな文章では使用を避けるべき表現です。
日常会話はもちろん、ビジネスの報告書やメールなどでも、正確な日本語を使うことで、あなたの信頼度や言葉への配慮が自然と伝わります。
今日からは、「三日にあげず」= 短い間をおかずにを正しく使っていきましょう。
コメント