
ある日、プレゼンテーションが予想以上に好評で、上司から高評価を受けたAさん。興奮のあまり、「今日は法外の喜びを感じています!」とSNSに投稿しました。しかし、正しい表現は「望外の喜び」です。
このように、日常生活で「望外の喜び」と「法外の喜び」が混同されることがあります。
今回はこの慣用句の正しい使い方と意味、そして誤用される理由について解説します。
正しい意味と使い方:「望外の喜び」の理解と実例
想像していた以上に良い結果や出来事が起きたときに使う、ポジティブで品格のある表現です。
具体例で学ぶ「望外の喜び」

- 自分ではまだ早いと思っていた昇進の知らせは、まさに望外の喜びでした。
- 誕生日に友人からサプライズのプレゼントをもらい、望外の喜びを感じました。
- 勉強時間が足りないと思っていたが、試験の結果が予想以上によく、望外の喜びを味わいました。
「望外の喜び」の語源: 言葉の背景を探る
「望外の喜び」は、「望外」=〈望み(=期待)の外〉という語にもとづく表現です。つまり、期待の範囲を超えて得られた喜びを丁寧に言い表します。

「望外」は文字どおり、望みの外に出る = 予想以上を示す語です。このため「望外の喜び」は、思っていた以上に良い結果が得られたときの、感謝や謙虚さを含む言い回しとして使われます。
例:「このたびのご厚情は、私にとって望外の喜びです。」
近い表現としては「思いがけない喜び」「予想外の喜び」などがありますが、「望外の喜び」はより上品で落ち着いた印象になり、お礼状やビジネス文書にも適しています。
誤用のなぜ:「法外の喜び」混同の原因
「望外の喜び」と「法外の喜び」の混同は、音が似ているだけでなく、どちらにも「範囲を超える」という共通のニュアンスがあるためです。
- 「望外」:望み(期待)の外=予想を超える(ポジティブ)
- 「法外」:法(基準)の外=常識や規則からはずれる(ネガティブ)

「望外」はうれしい出来事を指すのに対し、「法外」は不当な請求や無茶な条件などを表します。意味が正反対であるにもかかわらず、どちらも“外れる・超える”という共通点を持つため、誤用が起きやすいのです。
文章や会話で使う際は、「望外=期待を超える良いこと」「法外=基準を外れる悪いこと」と覚えておくと混乱しません。
まとめ:「望外の喜び」を正確に使うために

「望外の喜び」とは、期待を大きく超えたときの喜びを表す言葉です。その一方で、「法外の喜び」との混同が散見されますが、「法外」には本来ネガティブな意味があるため注意が必要です。
「望外の喜び」は、日常会話からビジネス文書まで幅広く使える、上品で丁寧な表現です。ぜひ正しい意味と使い方を理解し、自信を持って使いこなしましょう。
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