最後の望みに「藁にもすがる」…正しい意味と誤用「藁をもすがる」に要注意!

誤用しやすい慣用句
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「藁にもすがる」と言うべきところを、「藁をもすがる」と表現してしまった経験はありませんか?

例えば、こんな会話を耳にしたことがあるかもしれません。

A:「うちの会社、来期ヤバいらしいよ…」
B:「マジで?転職も考えないとね。オレ、藁をもすがる気持ちだよ…」

一見自然に聞こえるかもしれませんが、この「藁をもすがる」は実は誤用なんです。

今回は、この「藁にもすがる」という表現の正しい意味や使い方、語源、なぜ誤用されやすいのかなどを詳しく解説していきます。

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「藁にもすがる」の正しい意味と使い方

「藁にもすがる(縋る)」は、非常に困難な状況に追い込まれたとき、頼りにならないとわかっていても、わずかな希望や手がかりに縋(すが)ろうとすることを意味します。

「すがる」というのは「頼る・しがみつく」という意味。「すがる」は「何かにすがる」という形で用います。

具体的な使用例

  • 不採用続きで自信をなくしていたが、最後の望みをかけて、藁にもすがる思いで面接に臨んだ。
  • 事業が行き詰まり、藁にもすがるように知人の紹介で融資を申し込んだ。
  • 藁にもすがる気持ちで健康食品に手を出したが、思ったような効果はなかった。

「藁にもすがる」の語源とは?

この表現の語源は、水に溺れている人が、沈みかけた状態で、近くにあるものに必死でつかまろうとする姿から来ています。

その際、どんなに細く弱い「藁(わら)」のようなものであっても、「すがる」=「しがみつく」ことで助かろうとする様子を比喩的に表現したものです。

つまり、「藁」に対する信頼性の有無ではなく、とにかくどんなに頼りなくてもすがりたいという心理状態を表しているのが、この表現の本質です。

「藁」は軽くて細く、力強さのない存在であるため、たとえ現実的には救いにならないとわかっていても、切羽詰まった状況でそれにすがるという姿を強調するための比喩として使われています。

なぜ「藁をもすがる」と誤用されるのか?

「藁にもすがる」は本来、「藁」に「も」すがる(=他にすがれるものがない中で、藁のようなものにすらすがる)という構文です。

ところが、会話などではこの「にも」が聞き取りにくく、「藁をもすがる」という語順に変化してしまうケースがしばしばあります。

特に、「~をも」という助詞の使い方に慣れていると、「藁をもすがる」としてしまいがちですが、「すがる」は自動詞なので、「を」を目的語として取るのは誤りです。

加えて、「~をも頼る」や「~をも使う」といった他の他動詞構文と混同してしまうことも、誤用の一因になっています。

▼誤用例:
× 最後の望みとして、藁をもすがって健康食品を買ってみた。

このような表現は、ビジネス文書やスピーチの中で使用すると、違和感を持たれる可能性があるため、注意が必要です。

まとめ|正しくは「藁にもすがる」すがるのは自動詞!

「藁にもすがる」は、絶望的な状況でもかすかな希望にすがる人の姿を象徴する、非常に印象的な慣用句です。

語源をひもとくと、「すがる」は自動詞であり、助詞「にも」が適切であることがわかります。
「藁をもすがる」は意味が通じそうに思えても文法的に誤りです。

もしプレゼンや面接など、言葉づかいが問われる場面で使う場合には、「藁にもすがる」という正しい表現を選びましょう。

それでは最後にもう一度、正しい使い方をチェック!
「藁にもすがる思いで、希望を託した」——これが正解です。

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