
「あの人は本当に信じられない。会社のお金を使い込んだなんて、風下にも置けないよ。」
そんなふうに耳にすることがありますが、実はこの表現、ちょっとした誤用です。
本来は「風上にも置けぬ」が正しい表現。ところが、「風下にも置けぬ」と言ってしまう人も多く、会話ではつい流されてしまいがちです。
この記事では、「風上にも置けぬ」の正しい意味と使い方、そしてなぜ誤用されるのかを詳しく解説します。ビジネスの場でも恥ずかしくない表現を身につけましょう。
風上にも置けぬの正しい意味と使い方
「風上にも置けぬ」とは、ある人の性格や行動があまりにも卑劣で不潔、もしくは軽蔑に値するものであり、そばにいるのも不快に感じるほどの人物だという強い否定的評価を表す慣用句です。
この表現は、多くの場合、倫理的に許されない行動を取った人物に対して用いられます。
1.ビジネスの場での裏切り行為
2.私生活での不正行為
3.反社会的な行動への批判
ここで注目すべきは、「不快」や「軽蔑」の程度が非常に強い点です。ちょっとしたミスや失礼程度ではこの慣用句は使いません。
風上にも置けぬの語源とは?
この表現は、風向きに対する感覚をもとにした言い回しです。風は基本的に風上から風下へと流れます。もし不快なにおいや存在が風上にあると、そのにおいや影響は風に乗って自分の方(風下)へ届いてしまうのです。
そこから、「そんなやつは風上にも置いてくれるな=できれば風の影響が来る位置にもいさせたくない」という意味になり、「極端に不快で、そばにすら置きたくない人間」というニュアンスが生まれました。
したがって、「風上にも置けぬ」は本質的には「とにかく不快だから、遠ざけたい、関わりたくない」といった強い拒絶の意を示します。
なぜ「風下にも置けぬ」と誤用されるのか
「風下にも置けぬ」という表現は、意味の観点から見ると、まったく逆のニュアンスになってしまいます。では、なぜこのような誤用が起きるのでしょうか?
- 「風下」のほうがネガティブな印象がある:
においや煙などは風下に流れるため、「風下にいる=迷惑を被る側」という発想から、誤って使ってしまう。 - 語感の混同:
「風上」「風下」という言葉の対比が強いため、自然と「風下」のほうが正しそうに感じてしまう。 - 意味の理解不足:
表面的な言葉の雰囲気だけで使われており、語源や論理的な背景を知らないまま使うケースが多い。
しかし、「風下にも置けぬ」と言ってしまうと、「近くにいても影響を与えないくらい価値がない」というような逆の意味合いにも取られかねません。意味を正確に理解して使うことが大切です。
風上にも置けぬのまとめ|意味・誤用・正しい使い方
「風上にも置けぬ」は、道義に反するような卑劣な人物を強く非難する際に使う慣用句です。その語源は、風の流れによって「嫌なもののにおいが風下に届く」ことに由来し、「そんな人物は風上にすらいてほしくない」と強烈な拒否感を表現しています。
誤って「風下にも置けぬ」と言ってしまうと、意味があいまいになったり逆転してしまったりするため、正しい使い方を覚えておくことが大切です。
ビジネスの場面では特に、倫理的な非難を込めてこの表現を使うことがありますが、感情的になりすぎず、慎重に使うこともまた求められます。
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