
「尻の持って行き場がない」という表現、あなたは耳にしたことはありますか? この慣用句は、意外と誤用されやすく、「足の持って行き場がない」と間違えて使われることもしばしば。
たとえば、新しい職場で何をしていいかわからず、落ち着かない気持ちを表現したい時に、「足の持って行き場がない」と言ってしまう人がいます。
しかし、このような表現は誤りです。
この記事では「尻の持って行き場がない」について、正しい意味と使い方をわかりやすく解説します。
正しい意味と具体例:「尻の持って行き場がない」とは?
「尻の持って行き場がない」という慣用句は、追い詰められた状況や逃げ場がないと感じる時、または不平や不満、苦情などを訴える場所がない状況を指す際に用いられます。
この表現は、感情的、または物理的な場所における困惑や途方に暮れる様子を幅広くカバーします。
具体的な例

- プロジェクトがうまく進まず、期限が迫っている場合
「このプロジェクト、全然進捗がなくて、もう尻の持って行き場がない状態だ。」 - 会社での不満を誰にも話せない時
「上司にも同僚にも話せず、本当に尻の持って行き場がない。」 - 意図しないトラブルに巻き込まれた時
「あの騒動で、自分の不平不満を聞いてくれる人がいなくて、尻の持って行き場がなくなってしまった。」
このように、「尻の持って行き場がない」という表現は、単に追い詰められた状況だけでなく、感情を適切に表現したり、共有したりする出口が見つからない時にも使われます。
それは、感情的な窮地に立たされている、または社会的・職場でのコミュニケーションの難しさを示す際にも有効です。
語源から学ぶ:「尻の持って行き場がない」の由来
- 「尻を持つ」とは、最終的な支えや後ろ盾となること、または責任を負うことを意味しています。
- 「尻を持っていく」は、自分の立場や責任を他所に移す、または逃げ場を求める行動を連想させます。

誤用が生じる背景:なぜ「足の持って行き場がない」と言ってしまうのか
「尻の持って行き場がない」という表現が「足の持って行き場がない」と誤用される主な理由は、その後に続く「持って行き場がない」が動きや行動を連想させるためだと思われます。

このフレーズが示す「行動に困る」または「進むべき方向が定まらない」という意味から、直接的に「足」、つまり移動や行動に関わる部分が連想されやすいのです。
特に、不満や苦情を「持っていく場所がない」という抽象的な概念を、「足」を使って物理的な場所や状況に置き換えて考えることが、誤用の一因となっていると考えられます。
まとめ:「尻の持って行き場がない」を正確に使おう
この記事では、「尻の持って行き場がない」という表現の正しい意味、語源、そして誤用される理由について解説しました。
「尻の持って行き場がない」とは、精神的な追い込まれ感や進退窮まった状態を指し、不平や不満、苦情などを訴える場がないという意味で使われることもあります。
語源は「尻を持っていく」と「尻を持つ」の古い用法からきており、誤用される一因としては、表現が動きや行動を連想させるため、「足」が直接的な動きを象徴する部分として頭に浮かびやすいからです。
この理解を深めることで、日常生活やビジネスシーンでの適切な表現選びに役立てていただければ幸いです。
コメント