
「白羽の矢が立つ」という表現を聞いたことはありますか? 実は、「白羽の矢が当たる」と誤って使われることがしばしばあります。
例えば、あるプロジェクトのリーダー選出で、「この難しい役割に、白羽の矢が当たったのは山田さんです」との発言。しかし、本来この使用は誤り。
この記事では、そんな誤用がなぜ起こるのかを含め、「白羽の矢が立つ」の正確な意味、使い方、語源について解説します。
正しい意味と具体例:「白羽の矢が立つ」とは?
具体的な例
1.「昇進の候補が多数いた中で、白羽の矢が立ったのは佐藤さんだった。」
- 多くの候補者の中から佐藤さんが昇進の対象として選ばれたことを表しています。
2.「新しいプロジェクトチームのリーダーに白羽の矢が立ったのは、その分野で豊富な経験を持つ鈴木さんでした。」
- 鈴木さんがリーダーとして選出された理由が、その経験の豊富さにあることを示しています。
3.「今年の社員旅行の目的地を決める際、沖縄に白羽の矢が立った。」
- 複数の候補地の中から沖縄が選ばれたことを示しています。
語源から学ぶ:「白羽の矢が立つ」の由来

「白羽の矢が立つ」という言葉は、現代ではポジティブな意味で使われていますが、その起源は少し異なる意味合いを持っていました。由来を辿ると、この慣用句は「多くのものの中から犠牲者として選び出される」という、ネガティブな意味合いを持っていました。
古来、神様への生贄を選ぶ際に、白羽の矢を使って犠牲者の家を指し示す風習があったとされています。この白羽の矢が、特定の人や物を選び出す目印として用いられたことから、「選ばれる」という意味で使われるようになりました。
ただし、時代と共に、この表現はネガティブな意味合いから離れ、特に優れた能力や資質を持つ人物が選ばれる際に用いられるポジティブな表現へと変化しました。
このように、本来は選ばれることの重大さや、時には負の側面を含んでいた「白羽の矢が立つ」が、現代では能力や特別な資質を認められた人を指す際に用いられるようになり、その意味合いは大きく変わってきました。
誤用が生じる背景:なぜ「白羽の矢が当たる」と言ってしまうのか

「白羽の矢が当たる」という誤用が生まれる理由には、表現の直感的な理解に基づく誤解があると思われます。
日本語には「当たる」という動詞が頻繁に用いられ、何かに選ばれることを直接的に示す言葉として捉えられがちです。
そのため、選ばれること自体を「当たる」と結びつけ、誤った使い方が広まってしまうのです。
まとめ:「白羽の矢が立つ」を正確に使い分ける
「白羽の矢が立つ」という表現は、多くの選択肢の中から一つを選び出すこと、特にその選ばれる対象が何らかの特別な資質や能力を持っていることを意味します。
「白羽の矢が当たる」という慣用句は存在せず、正しくは「白羽の矢が立つ」が適切な表現です。
日常生活やビジネスシーンで使用する際は、この正しい意味と使い方を心がけることが大切です。例えば、新しいプロジェクトのリーダーに選ばれた人や、特定の任務に選出された人を指す際に使用することができます。
この慣用句を正しく理解し、適切に使うことで、言葉の選択がより豊かで正確になり、コミュニケーションがより効果的になります。
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