
こんにちは!
今回は、日常会話でよく使われる慣用句「思いもよらない」について取り上げます。
そして、その際によくある誤り――「思いもつかない」という表現についても解説します。
たとえば、ある社員が予想外の成功に「思いもつかない結果だった」と言うことがあります。
一見自然に聞こえますが、これは誤用です。正しくは「思いもよらない結果だった」となります。
では、この二つの表現にはどんな違いがあるのでしょうか?
正しい理解:「思いもよらない」の意味と使い方
「思いもよらない」とは、「予想もしなかったことが起こる」という意味です。
予測を超えた出来事や、想定外の結果を表します。
予測を超えた出来事や、想定外の結果を表します。
具体的な例

- 彼の突然の辞職は、誰にも思いもよらないことだった。
- 思いもよらない場所から古い手紙が見つかった。
- 思いもよらない再会に、涙がこみ上げた。
「思いもつかない」は誤用。正しくは「思いつかない」
「思いもつかない」は文法的に誤りで、正しくは「思いつかない」です。
「思いつかない」は「考えが浮かばない」「アイデアが出てこない」という意味で、創造的な発想や案を思いつけない場面で使います。
例:
× 新しい企画のアイデアが思いもつかない。
〇 新しい企画のアイデアが思いつかない。
× 新しい企画のアイデアが思いもつかない。
〇 新しい企画のアイデアが思いつかない。
このように、「思いもよらない」と「思いつかない」は意味の方向性が異なります。
前者は「予想外の出来事」、後者は「考えが浮かばない」という違いです。
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語源の探求:「思いもよらない」の由来とは?

「思いもよらない」の「よる」は、古語の「寄る」=「近づく・及ぶ」に由来します。
つまり、「思いも寄らない」とは「考えがそこまで及ばない」という意味で、意外な事態を指す表現として古くから使われてきました。
平安時代の文学作品などにも「思い寄らぬこと」などの形で登場し、長く受け継がれています。
誤用の理由:なぜ「思いもつかない」と言ってしまうのか

- 音の類似:「思いもよらない」と「思いつかない」はリズムや響きが似ているため、混同しやすい。
- 構造の誤認:「思いも〜ない」という文型をそのまま当てはめ、「思いもつかない」としてしまう。
- 日常会話では通じてしまう:意味がなんとなく理解できるため、誤りに気づかれにくい。
正しくは「思いもよらない(=予想外)」と「思いつかない(=発想できない)」を使い分けることが大切です。
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まとめ:「思いもよらない」は“意外”、 「思いつかない」は“発想不在”
- 「思いもよらない」=予想もしなかった出来事や結果。
- 「思いもつかない」は誤用。正しくは「思いつかない」=考えが浮かばない。
- 語源の「寄る」は「考えが及ぶ」の意で、「思いも寄らない」が転じて「思いもよらない」となった。
正しい言葉遣いを意識することで、日常会話でもビジネス文書でも、伝わる印象がぐっと洗練されます。
ぜひ今日から、「思いもよらない」と「思いつかない」を正確に使い分けてみてください。
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