開物成務とは?意味・由来を『易経・繋辞上』の原文とともにわかりやすく解説

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開物成務(かいぶつせいむ)は、『易経』繋辞(けいじ)上に見える四字熟語で、「物事の道理を明らかにし、人が果たすべき務めを成し遂げること」を意味します。

古くから、知識を実際の仕事や事業に生かす姿勢を表す言葉として受け継がれ、現在でも教育や経営の理念として用いられることがあります。

この記事では、開物成務の意味や使い方をはじめ、『易経』繋辞上の原文をもとに、語源や由来、現代にも通じる教えをわかりやすく解説します。

易経とは、中国最古の古典の一つで、陰陽の変化をもとに万物の成り立ちや人生の道理を説く経典です。占いの書として知られますが、後に儒教の重要な経典となり、政治や哲学にも大きな影響を与えました。
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開物成務の意味とは?

開物成務(かいぶつせいむ)とは、物事の道理や本質を明らかにし、人が果たすべき務めや事業を成し遂げることを意味します。

「開物」は、隠れている道理や知識を明らかにすること、「成務」は、人が担うべき仕事や使命を成し遂げることを表します。

「開成」の語源で、「物を開き務めを成す」とも読みます。

開物成務の使い方と例文

開物成務は、知識や技術によって物事の本質を明らかにし、それを社会や組織、人々のために役立てる場面で用いられます。教育や研究、人材育成、企業経営など、学びを実践へ結び付ける姿勢を表現したいときに適した言葉です。

  • 研究成果を社会へ還元する姿勢は、まさに開物成務の精神といえる。
  • 優れた教育者は開物成務を実践し、知識だけでなく人としての成長も導く。
  • 新たな技術を開発し、人々の暮らしに役立てることは開物成務の理念に通じる。
  • 企業には開物成務の考え方を大切にし、社会へ貢献する姿勢が求められる。

『易経・繋辞上』に見る開物成務の語源・由来

開物成務の出典は、『易経』繋辞(けいじ)上第十一章です。この言葉は、「易」とは何のために存在するのかを説いた一節に見られます。

『繋辞上』では、孔子の言葉として、易は単なる占いの書ではなく、天地自然の法則を明らかにし、人々が正しい判断を下せるよう導く書物であることが説かれています。その役割を端的に表した言葉が開物成務です。

原文:
子曰「夫易何為者也
夫易開物成務 冒天下之道 如斯而已者也
是故聖人以通天下之志 以定天下之業 以斷天下之疑」

書き下し文:
曰く「えきは何する者ぞや。
夫れ易は、物を開き務めを成し、天下の道をおおう、くの如きのみなる者なり。
故に聖人せいじんは、以て天下の志を通じ、以て天下の業を定め、以て天下の疑いを断つ。」

訳文:
孔子はこう言われた。

「『易』は何のためにあるのだろうか。

『易』とは、物事の仕組みや道理を明らかにし、人々がなすべき仕事や役割を成し遂げられるよう導き、この世のあらゆる道理を示すためにある。ただ、それだけのことである。

だから聖人は『易』を用いて人々の思いを理解し、人々が取り組むべき仕事や事業を定め、迷いや疑いを解き明かしたのである。」

「開物」は、万物の道理や本質を明らかにすること、「成務」は、人々が果たすべき仕事や使命を成し遂げることを意味します。つまり、知識を得ることを目的とするのではなく、その知識を社会や人々のために生かすことこそが「易」の本質であると示しています。

このことから開物成務は、「知識や道理を明らかにすること」と「それを実践に結び付けて社会に役立てること」を一体のものとして捉えた言葉であることが分かります。

現代でも、教育や研究、企業経営などで「知識を実践へ生かす」という理念を表す際に引用されることがあり、『易経』の思想を今に伝える四字熟語として受け継がれています。

『易経』や中国古典の教えをより深く知る関連四字熟語

『易経』や『論語』などの中国古典には、人の生き方や学問、為政者の心得を伝える四字熟語が数多くあります。あわせて読むことで、「開物成務」の思想をより深く理解できるでしょう。

  • 誨淫誨盗(かいいんかいとう)孔子は、「戸締まりを怠ることは盗人に盗みを教えるようなものであり、なまめかしい姿は淫らな心を誘発するようなものだ」と、不正や災いを招く環境を作ってはならないと説いた
  • 遠慮近憂(えんりょきんゆう)孔子の言葉に由来し、遠い将来を考えなければ近い将来に憂いが生じることを戒める。人格修養だけでなく先見性の重要さを説く教訓
  • 温良恭倹(おんりょうきょうけん)孔子が諸国で人々の敬意を集めた理由として語られる徳目。温和・善良・恭敬・倹約という人格修養を表し、欲望を抑えて自らを律する姿勢を示す
  • 甕裡醯鶏(おうりけいけい)孔子老子との出会いによって初めて自らの視野の狭さに気づいた故事。まるで、甕の中に生じる小さな虫のようだったと自分を卑下した
  • 喙長三尺(かいちょうさんじゃく)荘子の寓話に由来し、言葉に頼る孔子を皮肉に描きながら、「言葉を超えて人を動かす境地」を説いた
  • 温柔敦厚(おんじゅうとんこう)孔子は『詩経』の教育によって育まれる人格が「温柔敦厚」であり、穏やかで思いやり深く誠実な人柄こそが『詩経』の教えの成果であると評価した

開物成務の類義語・対義語

類義語

開物成務と同じく、知識や力を世の中や人々のために役立てることに関係する言葉です。

類義語(かな) 意味
経世済民(けいせいさいみん) 世の中を治め、人々を救うこと
経国済民(けいこくさいみん) 国家を治め、人民を安んじること
利用厚生(りようこうせい) 資源を有効に活用し、人々の暮らしを豊かにすること

対義語

物事を明らかにして仕事を成し遂げる姿勢とは対照的な意味を持つ言葉として、以下が挙げられます。

対義語(かな) 意味
無為徒食(むいとしょく) 何もしないで生活すること
因循姑息(いんじゅんこそく) 古い習慣に従い、物事を改めず、その場しのぎで済ませること

開物成務を英語で表記すると

英語表現 意味
To reveal the principles of things and accomplish one’s mission 物事の道理を明らかにし、果たすべき務めを成し遂げること
To apply knowledge for the benefit of society 知識を社会のために役立てること
To bring knowledge into practice 知識を実践へ生かすこと

開物成務のまとめ

開物成務(かいぶつせいむ)は、『易経』繋辞上に由来し、「物事の道理を明らかにし、人が果たすべき務めや事業を成し遂げること」を意味する四字熟語です。

『易経』では、物事の道理を知るだけでなく、その知識によって人々の判断を助け、仕事や事業の達成へ導くことが説かれています。開物成務は、その働きを端的に表した言葉です。

知識や技術は、学ぶだけで終わらせず、実際の仕事や社会のために生かしてこそ価値を持ちます。開物成務は、学びを実践へ結び付ける大切さを、現代の私たちにも伝えています。

◆この記事について
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