
「四面楚歌(しめんそか)」という四字熟語は、絶体絶命の状況や、周囲のすべての人から非難され孤立している状態を表す言葉です。
この記事では、その意味、使い方、由来、類義語・対義語、英語表現、誤用されやすい点まで、詳しく解説していきます。
四面楚歌の意味とは?周囲の非難と孤立を表す故事成語
「四面楚歌(しめんそか)」とは、周囲のすべての人から非難され孤立していることのたとえです。もとは文字通り「四方から楚の歌が聞こえる」という意味で、敵に囲まれ、味方さえ心変わりした絶望的状況を指す言葉となりました。
四面楚歌の使い方と例文をチェック
- 会議で賛同者が一人もおらず、まさに四面楚歌の状況だった。
- チームが全員離反し、彼は四面楚歌となった。
- 彼女は孤立してしまい、四面楚歌の気分を味わった。
四面楚歌の語源・由来を詳しく解説
「四面楚歌」は、紀元前202年、楚漢戦争の終盤に起きた「垓下の戦い」に由来します。楚の覇王・項羽は、かつて天下にその名を轟かせた英雄でしたが、劉邦率いる漢軍の巧妙な戦略と圧倒的な兵力の前に、ついに垓下で包囲されてしまいます。
夜になると、漢軍の陣営から楚の歌が四方から聞こえてきました。項羽は驚き、漢軍の中に楚人がこれほど多いのかと問い、もはや自軍の兵たちさえ心変わりし、敵方に寝返ったのだと悟ります。その瞬間、彼は完全な孤立無援を痛感し、深い絶望に陥ったのです。
この場面は司馬遷の『史記』「項羽本紀」に記され、項羽の悲劇的な最期を象徴するエピソードとして後世に伝わっています。最愛の女性・虞姫との別れ、わずか800騎での決死の脱出行、そして最終的な自刎──この一連の物語が「四面楚歌」という四字熟語の背後に重く横たわっています。
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四面楚歌に関連する故事・四字熟語を紹介
この記事では楚漢戦争期の項羽を中心に解説しました。同時代の登場人物や戦局に由来する関連語句を以下に紹介します。
- 背水之陣|漢の韓信が決死の覚悟で挑んだ戦術
破釜沈舟|楚の項羽が覚悟を決めた逸話- 捲土重来|敗北からの再起を誓った項羽の精神
- 乾坤一擲|漢の劉邦が運命をかけた大勝負
- 一敗塗地|漢の劉邦が項羽に徹底的勝利を収めた故事
四面楚歌の類義語・対義語
類義語
| 語句 | 意味 |
|---|---|
| 孤立無援 | 味方がなく、助ける者がいないこと |
| 絶体絶命 | 逃れようのない窮地に追い込まれること |
| 孤軍奮闘 | 助けのない中でただ一人で頑張ること |
対義語
| 語句 | 意味 |
|---|---|
| 四通八達(しつうはったつ) | 道が四方八方に通じていて自由であること |
| 八面玲瓏(はちめんれいろう) | 誰に対しても抜かりなく、物事に通じていること |
四面楚歌の英語表現
| 英語表現 | 意味 |
|---|---|
| besieged on all sides | 四方から包囲されている |
| surrounded by enemies | 敵に囲まれている |
| isolated and hopeless | 孤立し、希望を失っている |
四面楚歌の誤用に注意しよう
「四面楚歌」は単に『周囲に反対される状況』を表すだけではなく、『孤立無援で絶望的な状況』を強調します。軽い意味合いで使うと、深刻さが伝わらなくなるので注意が必要です。
四面楚歌のまとめ|孤立無援の悲壮な結末を振り返る
「四面楚歌」は、歴史的背景を知るとその重みがより理解できる四字熟語です。絶望の中でもがく人の姿を象徴する言葉として、正しく使いたいものです。
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