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年が明けると、多くの人が神社やお寺に初詣へ訪れます。
お寺での初詣は、もともと仏様への感謝と新しい一年の誓いを立てる場です。
近年では「家族の健康を願う」「仕事の成功を祈る」などのお願いごとも一般的になりました。
ただし、仏教では仏様にすべてを委ねるのではなく、自ら努力する姿勢を重んじます。
つまり「叶えてもらう」ではなく、感謝と誓いをもって願うのが本来の形です。
本記事では、お寺での正しい初詣マナー・参拝の順番・合掌やお賽銭(志納)の意味を、初めての方にもわかりやすく丁寧に解説します。


初詣とは?お寺での意味と心構え

お寺での初詣は、仏様に感謝を捧げ、心を新たに一年の精進を誓う行事です。
ただし、現代ではお願いごとをすることも自然な行いとされ、「お願い」=「誓願(せいがん)」という形で、努力を誓いながら祈るのが理想です。
仏教では「他力」と「自力」の調和を大切にし、仏の加護と自身の行いの両方によって幸せを築くと考えます。
そのため、感謝・反省・誓い・祈願を静かに心に込めることが、最も尊い参拝の形とされます。
参拝の順番と基本マナー
お寺では、「山門をくぐる → 手水舎 → 香炉 → 志納(お賽銭) → 合掌礼拝」の順で進みます。
① 山門をくぐる

山門は俗世と仏の世界を隔てる結界。
くぐる前に軽く一礼(約15度)し、中央(正中)を避けて左右どちらかに寄って進みます。
- 敷居は踏まずに跨ぐ:敷居は結界の象徴。踏むのは無作法とされ、木部保護のためにも避けます。
- 足の出し方:古来より男性は左足/女性は右足から入るのが作法。陰陽の調和「左尊右卑」に基づきます。
- 身なり:帽子やサングラスを外し、音を立てずゆっくりと。
- 退出時:門を出る前に振り返り、合掌して一礼。敷居は再び踏まずに跨いで外へ。
② 手水舎で清める

手水(てみず/ちょうず)は、参拝前に手と口を清め、心身を浄化するための作法です。
お寺では静かに、音を立てず行うことが大切。
手水の始まりと終わりには軽く会釈を添えるとより丁寧です。
- ハンカチを先に準備:口と手を拭くために事前に取り出します。
- 掲示優先:感染症対策などで口すすぎを省略する場合は、その指示に従いましょう。
【柄杓を用いる場合】
- 手水舎の前で軽く会釈。
- 右手で柄杓を持ち、水をすくう。
- 左手を洗う。
- 柄杓を左手に持ち替えて右手を洗う。
- 再び右手に持ち替え、左手に水をためて口をすすぐ。
柄杓には直接口をつけず、口元を隠して静かに水を落とします。 - もう一度左手を洗う。
- 柄杓を両手で立てて柄に水を流し、使った柄を清めてから伏せて戻す。
- ハンカチで口と手を拭く。
- 最後に軽く会釈して手水を終える。
【流水の場合】
- 手水舎の前で軽く会釈。
- 両手を流水で静かに洗う。
- 両手で水を受け、その水で口をすすぐ(口元を手で隠し、すすいだ水は口元から静かに落とす)。
- もう一度両手を洗う。
- ハンカチで口と手を拭く(周囲に水滴を散らさない)。
- 最後に軽く会釈して手水を終える。
③ 香炉の前で身を清める

香炉の煙には心身を清め、煩悩を鎮める意味があります。多くの寺院では線香を立てて供えるのが一般的です。煙がまっすぐ天に昇り、仏さまへ感謝の心を届けるとされます。
- 火は吹き消さない:口で吹かず、手であおいで消す。
- 線香は静かに立てる:灰の中央にまっすぐ差し、倒れないよう軽く整える。
- 寺の指示に従う:掲示や案内で「横に寝かせる」等の指定があれば、その作法を優先。
- 煙をあおいで受ける:手で軽く煙を寄せ、頭や体にいただく(健康・清浄の祈り)。
- 他人の線香に触れない:供えた線香はそのままに。
静かに手を合わせ、「健やかな一年となりますように」と心中で唱えましょう。
④ 志納(お賽銭)を納める
お寺でも一般に「お賽銭」と呼ばれますが、正式には志納(しのう)・浄財(じょうざい)・布施(ふせ)といいます。
金額の多寡よりも、感謝と施しの心を静かに捧げることが大切です。
- 納め方:投げ入れず、音を立てないようそっと納める。紙幣は折り畳まずゆっくり。
- 名称いろいろ:寺によっては「浄財箱」「喜捨箱」「布施箱」の表記。いずれも志を納める意味で同じ。
- 最近の事情:硬貨の入金・両替手数料は寺院側の負担。そのため、高額の小銭を大量に納める行為は避け、無理のない方法で心を示す。
- キャッシュレス:QRコードや交通系IC等のキャッシュレス志納を導入する寺院も増加。可否・手順は現地掲示に従う(端末前で長く滞留しない)。
- 列配慮:決済操作は手早く。混雑時は後方に下がってから操作・お札整理を。
⑤ 合掌して礼拝する
お寺では拍手を打たず、静かに合掌して一礼します。
両手の指をそろえ、胸の前で合わせて隙間を作らないようにします。
これは「仏と自分が一体である」ことを象徴する所作です。
お辞儀は45〜90度を目安に静かに行いましょう。
「日々のご加護に感謝し、今年も心静かに努めます」
願い事・祈り方の心得
お寺では「願う」と「誓う」の両方が大切です。
まず感謝を伝えたうえで願い事を祈るのが礼儀とされます。
願いごとは「叶えてください」ではなく、「叶うよう努力します」と誓う「誓願(せいがん)」の形で伝えましょう。
「家族が健康で過ごせますよう、私も日々を大切に生きます」
おみくじ・お守り・御朱印の扱い方

おみくじは吉凶に一喜一憂せず、仏様からの教えとして受け止めます。
お守り・御朱印は信仰の証であり、感謝の気持ちで丁寧に扱うのが作法です。
古いお守りは年始に返納し、新しいものを受けましょう。
服装と参拝の心構え

お寺では控えめで清潔な服装が基本です。
派手な色・強い香水・露出の多い服装は避け、堂内では帽子やサングラスを外すのが礼儀です。
冬場は防寒しつつも、合掌や礼が妨げられないよう整えましょう。
まとめ
お寺の初詣は、仏様への感謝と誓いを新たにし、心を整える時間です。
静寂の中にこそ、真の安らぎが宿ります。
- 参拝の順番:山門 → 手水 → 香炉 → 志納(お賽銭) → 合掌礼拝
- 山門:男性は左足・女性は右足から。敷居を踏まずに。
- 手水:始めと終わりに会釈。静かに清め、音を立てない。
- お賽銭:正式には「志納」「浄財」「布施」。感謝の心を納める。
- 合掌:隙間を作らず、仏と一体になる心で一礼。
- 願い事:感謝→祈願→誓いの順。お願いも誓願としてOK。
2026年の始まりに、あなたの一年が穏やかで実りあるものになりますように。
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